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2006年6月21日 (水)

誰かのことを強く思ってみたかった

だれかのことを強く思ってみたかった     集英社文庫 Book だれかのことを強く思ってみたかった 集英社文庫

著者:角田 光代
販売元:集英社
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連載されていた短編まとめられています。

東京という大きな、そして小さい街。
その中に漂う様々な『記憶』。
それを角田光代と写真家の佐内正史が二人でめぐり、切り取る。

とても気にいった言葉がありました。

ファインダー』という一編で、主人公は公園で一人でよく食事をします。
そこには年中来る一人の男。
彼は毎日猫にえさをやるので主人公は「猫男」と名づける。

そして主人公はこう語るのです。
  誰かのことを強く思ってみたかった。
  けれど思うべき相手はいなかったし、
 誰かのことを思うことがどんなことかもしらなかった。
 だから、仕方なく猫男のことを思った。

もう一つ。『みなかった記憶』という一編です。
  見たものより、見れなかったもの。
  会えた人より、会えなかった人。
  口に出せたことより、口に出せなかったこと。
  食べたものより、食べることのかなわなかったもの。
  関係をもった人よりも、持たなかった人。
  行った場所より、行くのを断念した場所。
  手に入れたものより、どうしても手に入らなかったもの。
  それらは空白としてではなく、ある確固とした記憶として私の中にある。

なんとなくわかる気がしました。

写真はモノクロがほとんどですが、とても懐かしい気分にさせたり
そこに誰かの『記憶』が潜んでいるようなものが多かったと思います。

自分の田舎の風景、故郷に残った友達、もう何をしているのかもわからなくなってしまった幼馴染を思いながら・・・  都会の人通りの中に、誰かの姿を思い浮かべながら・・・
さらっと読める一冊です。

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コメント

TBありがとうございました。
誰かの記憶、確かに、自分の記憶じゃない、他の誰かの「想い」が潜んでいるようなお話と写真の数々でしたね。

またお邪魔します。

投稿: ribbon | 2006年7月 9日 (日) 15:02

ribbonさんこんにちは。
ribbonさんのブログもぜひ今後も定期的に拝見させていただきたいなぁと思っております。
よろしくお願いします!
またのご訪問もお待ちしております♪

投稿: 映画生活 | 2006年7月 9日 (日) 15:19

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