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2007年6月17日 (日)

アジアンタムブルー(続き)

アジアンタムブルー Book アジアンタムブルー

著者:大崎 善生
販売元:角川書店
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人は、一度巡り合った人と二度と別れることはできない――。

この大きなテーマに挑んだ「パイロットフィッシュ」の続編
と言われる長編小説「アジアンタムブルー

前作と同じ主人公、山崎。
彼が勤めるのはやはり文人出版というアダルト雑誌の出版社。

そのアダルト雑誌のモデルを通して、
水溜りの写真だけを撮りためているカメラマン、
続木葉子と彼は出会う。

彼らは穏やかな生活のなかで、
二人の好きな音楽を聴き、
アジアンタムを育てた。

葉子は山崎を鳥博士で魚博士で映画博士だと言い、
山崎は葉子を植物博士と呼んだ。

二人で過ごした最初のクリスマス。
鳥の見分けがつかない葉子には鳥図鑑を。
植物音痴の山崎は植物図鑑をもらった。

そんな、とってもとっても穏やかな日々。

しかし、葉子は水溜りを撮りに出かけた金沢で倒れ、
末期の胃がんを宣告されてしまう。

山崎は葉子との最後の1ヶ月を、
ニースで過ごそうと決めた・・・

最初に取材でニースを訪れた時、
帰りの飛行機の中で葉子は言っていた。
「私、死ぬときはあそこで死にたい」
水溜りみたいな海だったな

物語は、葉子を失い会社を休むようになった山崎が、
吉祥寺のデパートの屋上に通うところから始まる。
そこで彼は、夫に先立たれた未亡人と出会い、
過去の自分を振り返り、
高校の先輩を思い出す。

世間から隔離されたデパートの屋上で、
「アジアンタムブルーを乗り越えた株だけが、
 冬を越え、
 活き活きと生きていく。」
葉子がそう言っていたのを思い出す。

憂鬱の中からしかつかめないものがある。
それを、この手にしっかり掴むのだ。

それが山崎の出した答えだった。

大切な人を病気で失くす、
という特に最近ありがちなストーリーに思えなくもないかもしれない。
しかし、
山崎の出した答えに読み手は必ず励まされ、
泣いても泣いても心の中で消化しきれないほどの優しさをもらえる。

明日、アジアンタムを買いに行こう・・・

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